解説

1969年、原宿のセントラルアパートに"若松プロダクション"はあった。当時33歳の若松孝二が作り出すピンク映画は若者たちを熱狂させ、時代の先端を駆け抜けていた。 21歳で"若松プロダクション"の門を叩いた吉積めぐみの目を通して、若松孝二と共に映画、青春、そして恋、なにもかもが危うくきらめいていた一瞬の時を描く、青春群像劇! 2012年10月17日の若松孝二監督逝去から6年。いまや日本映画界を牽引する俊英白石和彌が、師匠若松孝二が時代と共に駆け抜けた若き日を描きだす。白石監督自ら「映画を 武器に戦ってきた若松さんの声をもう一度聞きたい」と企画した本作『止められるか、俺たちを』は、記念すべき若松プロダクション映画製作再始動第一弾となる。 主演は門脇麦、若松プロダクション助監督・吉積めぐみ役を熱演。そして若松孝二役は若松組常連・井浦新。 こんな若松プロ、こんな青春、誰も観たことない———

時代の先端を駆け抜けろ!これが映画だ!!これが若松プロダクションだ!!
監督白石和彌が、「ここではないどこか」を探し続けた映画人のほろ苦くて愛おしい一瞬を描きだす

若松プロダクション出身で、『凶悪』で第37回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、『孤狼の血』(18)など、日本映画界を代表する監督・ 白石和彌が自ら企画した『止められるか、俺たちを』。1969年から71年にかけての若松プロダクションを助監督・吉積めぐみの目を通して描いた青春群像劇だ。「これは自分自身 の話でもある」と白石監督自身が言うように、何者かになることを夢みた誰もが感じたことのある、全てが輝いて世界の扉が開くような昂揚感と、自分だけが取り残されていく ようなそこはかとない不安が描かれていく。 晩年の若松プロダクションの事務所には、何枚かの写真が貼ってあった。チェ・ゲバラ、レバノンで死んだ無名のパレスチナ戦士、 岡本公三…、その中にあったおかっぱ頭の女の子の写真。その女の子こそ、本作の主人公・吉積めぐみだ。 1960年代後半、学生運動の高まりとともに熱烈に時代を映しとっていった若松作品は、当時若者を熱狂させたが、志のある作品を作ってもそれが売れるとは限らなかった。表現者 として、独立プロとして、いかに自分たちが世界に立ち向かっていけるのかを若松孝二も若松プロの面々も模索していた。当時の日本映画界全体を見渡しても珍しい女性の助監督 だっためぐみ。若松プロという未知の世界に迷い込んだ彼女は何を見て、何になろうとしたのか——。 これは映画監督白石和彌が、師匠若松孝二と、"何者かになろうと夢みた"全ての人へ送る、終わらない青春の1ページの記憶だ。

"若松プロ"に飛び込んだおかっぱ頭の女の子、吉積めぐみ役・門脇麦!! 驚愕の若松孝二役・井浦新!!
音楽&主題歌・曽我部恵一!!若松孝二に「バカヤロ-!」と怒鳴られ、愛されたキャスト、スタッフが集結!

スタッフ、キャスト共に、若松孝二に所縁のある面々が終結し、新生・若松プロの元、白石組が始動した! 主演は若松プロ初参戦となる門脇麦。日本映画界に欠かせない存在として多くの作品に出演し、白石組には『サニー/32』(2018)に続いての参加になる。白石監督がその佇まいから 吉積めぐみ役を熱望し、「健康的な雰囲気と60年代に纏っていそうなアンニュイな雰囲気が同居する不思議な魅力が、青春時代の誰しもが持ち得て感じる蹉跌を表現している」と、絶賛 した演技で観る者を魅了する。 『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08/若松孝二)(※以下『連赤』)から若松組常連で、映画、ドラマで唯一無二の存在感で観る者を惹きつける 井浦新が若松孝二役を熱演。「若松孝二を誰かが演じるのであれば、自分がやる」と腹をくくり、愛すべき"若ちゃん"として、新たな一面を見せた。『キャタピラー』(10/若松孝二)で 四肢のない軍神を熱演した大西信満、『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(12/若松孝二)で森田必勝役に抜擢された満島真之介、『連赤』で加藤3兄弟の末っ子を14歳で演じた タモト清嵐、『千年の愉楽』(13/若松孝二) で圧倒的な存在感を知らしめた高岡蒼佑、『千年の愉楽』での鋭い感性が光っていた高良健吾など、若松孝二に「バカヤロー!」と怒鳴られ、 愛された俳優陣が集結した。そして山本浩司、藤原季節、毎熊克哉など日本映画界の新しい才能が集結した。 晩年の若松孝二監督が絶対の信頼を置いていた辻智彦(『連赤』の撮影にて三浦賞受賞)&大久保礼二の黄金撮照コンビ、脚本は若松プロ助監督出身の井上淳一(『あいときぼうのまち』 など)、同じく助監督出身の大日方教史(『赤い玉、』など)がプロデューサーをつとめた。そして劇中題字は『天使の恍惚』を担当した赤松陽構造。音楽は若松孝二とも交流があり、 若松孝二の映画をこよなく愛する曽我部恵一が、音楽を担当。主題歌「なんだっけ?」を書き下ろした。あの時代の空気と、主人公たちの情熱に寄り添ったメロディーに魅了される。

若松孝二×足立正生×沖島勲×大和屋竺×秋山道男×荒井晴彦×赤塚不二夫×大島渚
映画に魅せられた何者かの卵たち、知られざる異才たちの青春がいま明かされる!!

世界三大映画祭を震撼させた鬼才・若松孝二監督。1963年にピンク映画『甘い罠』でデビューし、65年『壁の中の秘事』がベルリン国際映画祭正式上映作品として出品されると、「国辱映画」 としてセンセーショナルな騒動となり、同年、若松プロダクションを創設した。若松プロは『壁の中の秘事』(65)『胎児が密猟する時』(66)『犯された白衣』(67)『処女ゲバゲバ』(69)など若者 たちを熱狂させる映画が次々と作っていった。 当時の若松プロには、後に日本赤軍に合流した映画監督・足立正生、「日本昔ばなし」の脚本を手掛けた脚本家、映画監督・沖島勲、若松作品 以外にも鈴木清順監督作品などを手掛けた脚本家・大和屋竺、若松プロ脱退後に無印良品のプロデュースなどを手掛け多岐に渡る才能を発揮した秋山道男、雑誌「映画芸術」編集長で脚本家、 映画監督・荒井晴彦など、多くの異才たちが集っていた。 また時代の寵児とも言うべき表現者たちも、若松プロの周辺には多く存在していた。のちに映画『愛のコリーダ』(76/大島渚)で 若松をプロデューサーに抜擢した映画監督・大島渚や、すでに「おそ松くん」(62)、「天才バカボン」(67)など大人気漫画家として活躍していた赤塚不二夫など、若松孝二の情熱に、多くの 表現者たちが化学反応を起こすかのように引寄せられていた。 知られざる異才たちのまっすぐで、バカで、愛おしい青春時代がいま明かされる!